コンパクトデジタルカメラやビデオカメラの撮影時に倍率で話される(表記される)ことがほとんどですね。
この倍率について人に説明できなかったので、文字起こしをしてみました。
ぜひ参考にしていただければと思います。
- レンズの倍率は簡単に求められる
- 「倍率とは単純に自分の目で見た状態からの何倍の大きさに見えるか」ということではない
- 倍率はセンサーサイズに対してどのくらいの倍率かということ
について解説すればある程度、理解できるのではないでしょうか?
わかりやすい順に並べてみました。
レンズの倍率とは?
一眼レフカメラもミラーレスカメラもレンズ交換式のカメラです。
レンズの倍率を求めるのは簡単なんですよ!
レンズの倍率は
メモ
望遠側の焦点距離÷広角側の焦点距離=倍率
で計算できます。
広角側の数値によっても大きく変わります。
たとえば、24-120mmのレンズなら
120÷24=5
つまり5倍ズーム。
200-500mmのレンズなら
500÷200=2.5
2.5倍ズームとなります。
ただし、24-120mmの5倍ズームより、200-500mmの2.5倍ズームのほうがはるかに望遠なんです。
なぜかというと、数値が大きい方が望遠なんですよ!
上記の例で言えば、120より500のほうが数値が大きいので望遠だということなんですね。
「◯◯倍のズーム」ってよく聞くと思いますが、倍率って意外といい加減なんですよね^^;。
っていうことをみんな知りたいと思うんですよね。
そのためには一眼レフカメラについて勉強する時によく出てくる「35mm換算」という言葉も説明しないといけません。
35mm換算については後述したいと思います。
ビデオカメラやコンデジの倍率とは自分の目で見た上階からの倍率ではない!
単純に倍率だけで比較できないことがご理解いただけたと思います。
前の項を参考にしていただければ、3倍ズームは自分の眼で見た状態から3倍に拡大できるという意味ではないということがわかっていただけるはず。
多くの人が勘違いしているんですよね。
しかし実際には広角端から3倍です。
ズームする前の何を基準にしているかという話なんですよね。
コンパクトデジタルカメラやビデオカメラはセンサーサイズを基準にしているんです。
家電量販店のポップやパンフレットの『◯◯倍ズーム』というのはセンサーサイズを基準にして書かれたものなんですね。
ちなみに双眼鏡では、自分の目で見た状態からどのくらいの大きさで見えるかということで倍率が使われるようです。
倍率
対象を双眼鏡で見たとき、肉眼と比べて「どれくらい大きく見えるか」の割合を「倍率」と言います。
たとえば8倍の双眼鏡で800m先のものを見た場合、100mまで近づいて肉眼で見た状態とほぼ同じになります。
倍率が高くなるほど、手ブレの影響が大きくなり、また視野が狭くなるため見にくくなります。通常は、12倍ぐらいまでの双眼鏡がよいでしょう。
また、手ブレの影響をなくすためには、双眼鏡を三脚等に固定して使うことをお勧めします。
防振機能の付いた双眼鏡であれば、高倍率でも手ブレ等による振動の影響を軽減できます。
http://nvj.nikon.com/guide/binoculars/basic/basics_03.htm
倍率はセンサーサイズに対してどのくらいの倍率かということ
倍率について書く前にイメージセンサーについて書きたいと思います。
イメージセンサーとは?
という話になってしまいます。
カメラ本体にはイメージセンサーというモノが入っています。
イメージセンサーの大きさによって画質やぼけ方、価格などに違いが出てきくるんです。
このイメージセンサーのサイズによって、カメラの画質は変わります。
センサーサイズが大きいほど画質はきれいになりますが、一概に大きければいいというものでもありません。
このことはまた別の記事で紹介できればなぁ、と思っていたりします。
- フルサイズ
- ASP-C
- マイクロフォーサーズ
- 1インチ
- 1/1.7
- 1/2.3
- 1/3
フルサイズの上には「中判」なんていうものもあります。
ちなみにiPhoneXのセンサーサイズは1/3。
35mm換算とは?
- カメラのセンサーサイズ
- フルサイズ
- ASP-C
- マイクロフォーサーズ
- 1インチ
- 1/1.7
- 1/2.3
- 1/3
フルサイズの一眼レフカメラに35mmのイメージセンサーが使用されています。
ざっくり説明すると
というお話なんですよ!
どうして35mm換算しないといけないのか?(した方がいいのか?)の説明は以下の項で紹介します。
「イメージセンサーの35mmフルサイズ」は昔のフィルムのサイズが35mmだったのが由来とか。
一眼レフカメラの倍率
フルサイズの一眼レフカメラでは50mmが人の見た目に近い画角である
一般的に『35mmフルサイズの一眼レフカメラで焦点距離50mm』を使用して撮影した写真が、人間の見た目とほぼ同じと言われています。
人間の見た目というのはかなり広角なのでイメージしづらいと思います。
そうと言われればそうだし、違うと言われれば反論できない・・・
『35mm換算で焦点距離50mmのレンズ』に写る範囲が、自分の目で見ている範囲とほぼ同じ。
こう言われているので仕方がない。
納得していただきたい!!
つまり35mmフルサイズの一眼レフカメラでは『望遠レンズの最大値÷50mm』で、人の見た目からの倍率を求められるんです。
400mmの望遠レンズであれば、
400÷50=8倍
ということですね。
上記の写真はTAMRON100-400mm望遠レンズで撮影した写真です。
サッカーJリーグの「ヴィッセル神戸vsサガン鳥栖」戦を望遠レンズで撮影
ノエビアスタジアム神戸のサッカーコートのピッチ縦幅が105m、横幅が68mだそうです。
センターサークル付近から自分の座っている座席までは70〜80mくらいの距離から撮影した写真がこれ。
どのくらいの大きさで写るかのイメージ図はこちらのサイトがわかりやすいです。
話が逸れますが参考にしてみてください。
ではAPS-Cやマイクロフォーサーズなど、センサーサイズが違うカメラはどのようにすればいいかというと以下で説明します。
「APS-C」「マイクロフォーサーズ」人の見た目に近い焦点距離
イメージセンサーの種類によって人の見た目に近い画角が違います。
- APS-C 35mm
- マイクロフォーサーズ 25mm
APS-Cなら焦点距離35mmのレンズが人の見た目に近いし、マイクロフォーサーズであれば焦点距離25mmのレンズが人の見た目に近いということです。
APS-Cのカメラで400mmレンズを使用する場合の人の見た目からの倍率は、
400mm÷35=11.4倍
マイクロフォーサーズであれば、
400mm÷25=16倍
ということになります。
ちなみにレンズが交換できない1インチセンサーサイズでは、「人の見た目に近い画角」は18mm。
1/3では6.9mmが人の見た目に近いということになります。
カメラのセンサーサイズの種類によって人の見た目に近い焦点距離が違うと、上記のようなおかしな現象が起こってしまうんです。
「センサーサイズが違うものを35mmに統一しよう』というのが「35mm換算」。
35mm換算の計算方法
ではどのようにすればよいかということを書いてまとめていきます。
APS-Cセンサーで35mm換算する方法
メモ
焦点距離×1.5=フルサイズに換算した焦点距離
APS-Cセンサーの場合、レンズの焦点距離を1.5倍すると35mmフルサイズと同じ画角になります。
- 35mm(焦点距離)×1.5=52.5mm(フルサイズに換算した焦点距離)
APS-Cの35mmとフルサイズの50mmはだいたい同じ画角になります。
ちなみキャノンのAPS-Cでは「1.5」ではなく「1.6」をかけます。
他のメーカーのAPS-C機よりイメージセンサーが小さいためです。
APS-Cに400ミリの望遠レンズを装着、撮影した場合
400÷3.5×1.5=7.6
「人の見た目から35mm換算で7.6倍の倍率」ということになるんですね。
同じことがマイクロフォーサーズで行います。
マイクロフォーサーズで35mm換算する方法
マイクロフォーサーズを35mm換算するときの公式は以下のとおり。
メモ
焦点距離×2=フルサイズに換算した焦点距離
マイクロフォーサーズは計算が簡単。
2倍してやればいいです。
- 25mm(焦点距離)× 2 =50mm
ミラーレス機で多く使われているのがマイクロフォーサーズというサイズのセンサー。
OLYMPUSやPanasonicというメーカーのものが有名ですね。
400mmのレンズであれば
400mm÷25×2=8
マイクロフォーサーズで撮影したカメラでは「人の見た目から35mm換算で8倍の倍率」ということ。
35mm換算で50mmのレンズを使用して撮影したのが人の目で見た範囲とほぼ同じという事を利用しました。
35mm換算、つまりフルサイズの35mmに統一すればわかりやすいんですね。
コンパクトデジタルカメラ『コンデジ』で使用される1インチのセンサーサイズだと「2.7」をかければ35mm換算になります。
https://35mm換算.comは便利
この記事を書くにあたっていろいろ調べていて見つけたサイトがあります。
APS-Cやマイクロフォーサーズだけでなくコンパクトデジタルカメラも35mm換算できる計算機がついています。
https://35mm換算.com/cameras/ccd/1_3/
多くのサイトでも35mm換算表がありますが、35mm換算の簡単な求められるので覚えておいて損はありません。
まとめ
倍率は『どのセンサーサイズと焦点距離を基準するかで変わる』というのが当記事の結論です。
この記事ではフルサイズ35mm換算で焦点距離50mmを基準に書いてみました。
人の見た目に近いという理由からフルサイズ焦点距離50mmを選びました。
このサイトのようにコンデジでよく使用される24mmを基準にしているサイトもあります。
どうだったでしょうか?
倍率の話から、内容が大きく膨らみました。
センサーサイズが違うということで注意しなければならないことが、APS-C機からフルサイズ機へ移行する場合です。
APS-Cのセンサーはエントリークラスの一眼レフが多いのですが、これらのレンズはフルサイズ機でも使えます。
APS-Cからフルサイズにステップアップした時、揃えたレンズの画角が変わってきます。
「フルサイズ機用のレンズはAPS-Cに装着できるけど、画角が変わる」
「APS-C機用のレンズはフルサイズ機に装着できるけど画角が変わってくる」
ぜひ覚えておいてくださいね。
一眼レフカメラの倍率について自分自身も勉強になったし、わかりやすく説明できたと思います。
間違いがあればご指摘くださいね。
最後までご覧いただきありがとうございました。